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『行動指針にも落とし穴がある?』~明快通信Vol.038~

2014年12月9日


おはようございます。

人事評価システム『明快』事務局の佐藤明日美です。

 

瀬戸大橋を支えているのはピアノ線の束で、使われている

ピアノ線の総延長は地球2周半分だそうです。

そして、そのピアノ線を守る筒の中には、ピアノ線が

錆びないよう、新鮮な乾燥した空気が送られ続けているらしいです。

 

(大切だからこそ、守らず、思い切って新鮮な空気に触れさせるって

自分に必要な気がします)

 

さて、今週も井上先生から人や組織に関する

ノウハウを取材して参りました。

 

今回のテーマは「組織運営」。

詳しくは本文で・・・!

 

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テーマ:行動指針にも落とし穴がある?

┗…┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…┛

 

経営者は、「こんな会社にしたい」「こんな社員になってほしい」

という想いを「行動指針」として、示すことがあります。

 

時に、行動指針がしっかりと体現されているような

有名企業はインターネットを検索すればすぐに見つかります。

 

ただ、多くの場合、そういった「行動指針」が

形骸化したまま、記憶から薄れていくというのはよくある話です。

 

なぜ、「行動指針」を立てたのに、会社に、現場に根付かないのか?

 

 

今日は、その原因の一つとして私が感じていることをお話します。

 

【プラスの行動指針に潜む罠】

 

行動指針というと、抽象的なもので、スローガンに近いものです。

 

たとえば、「チャレンジ」とか「スピード」とか「和」といった言葉を

掲げている会社さんはあります。

 

よくある社長の悩みは、「チャレンジ」を掲げているのに

社員がまるで積極的でなく、意見すらも闊達に出ないといったことです。

 

これは、どうしてなのか?

 

そこで考えてほしいのですが、

行動指針として、「チャレンジ」を据えるということは

どういう事態が起き得ると思いますか?

 

まず、チャレンジというものには、「失敗」が付き物。

 

良くある話として、「チャレンジ」を掲げた会社の社長が

「失敗は許さない!」と言っていたり、そういった風土を

作り上げていたりすることです。

 

こういったことが想像できるのにもかかわらず、

行動指針のマイナス面についての理解をしていない会社が

とても多いように思います。

 

つまりプラスの行動指針を作ったなら、

その行動指針に内包されるマイナス面にも向き合う必要があるのです。

 

 

【会社の雰囲気を悪化させていないか?】

 

私が以前勤めていたCBSソニーでは、大賀典雄氏が掲げた

「Think once more」という言葉がありました。

 

とにかく私がいた時代は、本当に賑やかで、パワーが溢れている

社員が多かったですから、この言葉が、そういった社員たちに、

「いったん止まって、一考する」という習慣と風土として

染み込んでいきました。

 

「think once more」の裏にあるマイナス面というのは、

議論の前に、一考する、再考する風土が、活発な議論の

スピードを遅くさせることにあると思います。

 

ただ、CBSソニーのように賑やかな会社では、この行動指針が

いい方向に働いていました。猪突猛進するような社員がたくさん

いましたから、少し立ち止まったり、「お前もう少し考えろよ」と

簡単に相手に言える雰囲気が醸成されたのです。

 

ただ、この「think once more」を元来静かな会社に

入れてしまったらどうでしょう?

 

言い過ぎかもしれませんが、水を打ったようにさらに静かに

なってしまうかもしれません。

他にも、「和」を行動指針に掲げたのに、

現場の社員たちは、自分たちの仲の悪さを自覚していて

行動指針自体に違和感を感じてしまえば、

その行動指針をうまく浸透させていくのは難しいでしょう。

 

つまり、行動指針を作る際には、今ある会社の雰囲気や風土にとって

プラスに作用するのかどうかということも念頭に置く必要があるわけです。

 

【行動指針のマイナス面をどうするか?】

 

では、そうやって生まれたプラスの行動指針が

内包するマイナス面についてどう考えていったらよいのでしょうか。

 

「チャレンジ」の行動指針に対して、「失敗するな!」というのは

あまりにお粗末なわけです。

失敗やミスにマイナス査定がつくとしたら、

全部を求めすぎていて、これでは社員は動けなくなってしまいます。

 

だからこそ、うちの会社では、チャレンジしたことに対する失敗は

「マイナス査定をつけません」や

「失敗は、同じチームのメンバーがフォローします」といったように

マイナスを補てんする言葉も用意してみるのです。

 

プラス面を強調するだけが企業文化ではなく、

マイナス面があるので、それに対する処理の仕方を考え、

根付かせるのが、企業文化と言えるのかもしれません。

 

まずは、行動指針のマイナス面と経営者が向き合うこと。

そして、このマイナス面について

「これを受け入れる覚悟があるか?」と自らに問いかけてみるのです。

 

この問いかけこそが、行動指針が根付いていく

スタート地点になるのではないかと思います。

いかがでしたか?

 

ではまた来週お会いしましょう。

 

井上健一郎

 

 

■編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■■■

 

編集担当の佐藤明日美です。

 

井上さんとのお話の中で、

「ドンマイ!」と「ナイストライ!」についてのお話になりました。

 

私、この2つの言葉について使い分けすることなんて

考えたこともありませんでした。

 

その人の育成や成長段階において、

まだ物事の判別が自分でつかないような人に対しては、

失敗しても「ナイストライ!」

 

自立して、ある程度の実績を積んできた人は

すでに物事の分別がつきますから、「ナイストライ!」は侮辱。

本人も失敗を自覚しているから「ドンマイ」を使うべき。

 

特に、成長段階にある人に「ドンマイ」を使うという事は

「あなた失敗したわね」ということを言外に伝えているというわけです。

そうすると、失敗経験として成長段階の人に

積み重なっていってしまうんですね。

 

無意識に使っている言葉、「言い回し」。

もう少し大事にしたいものです。

 

また次回のメルマガでよろしくお願いいたします!

 

佐藤明日美

 

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